しなやか通信

cafegimlet.exblog.jp
ブログトップ
2006年 09月 09日

飛んで火に入る秋の虫

雨が二、三日続いたときには、長袖のシャツを引っ張り出してこなければならないほど涼しく感じられた。
日の暮れるのも早くなり、九月の暦どおりの気候となった。



虫たちも、年間予定表を確認して行動しているかのように、八月の末ごろから鳴き始めるようになった。
雨がやみ、さわやかな秋の晴天、と本来ならば、そうなるはずの今日は、歩いているとシャツがべっとりと肌にまとわりつくような気候と相成った。
長袖から半袖に逆戻りである。
多少の暑さ、寒さは我慢して、季節を先取りした恰好をするのが、お洒落というものである。
「粋」とは、やせ我慢のことでもある。
しかし、今日の暑さは、「多少」という範疇ではない。
秋桜(コスモス)ではなく、まだ、ひまわりが似合う陽気だ。

辺りが暗くなっても、肌にじっとりした感触が残る。
夕闇の中で、誰かが大きなボイラーを焚いている。
暗くて見えないだけで、蒸気に包まれているのではないか。
病院からの帰り道、そんなふうに錯覚をおこしながら歩いていると、虫の声が聞こえてくる。
滴る汗を手でぬぐいながら聞く虫の音には、風情など微塵もない。
「夕刻になったから、鳴いているんです。スケジュールどおりですから」
「まだ、出てきて鳴くのは早いかな、とは思うんですがね」
虫たちの声は、そのように聞こえる。
可愛そうに。
これじゃあ、まるで、「飛んで火に入る秋の虫」だ。
[PR]

by Cafe_Gimlet | 2006-09-09 22:02 | 揺さぶる言の葉


<< 9.11      要人発言、用心発言 >>