しなやか通信

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2006年 03月 07日

雛祭り

母の入院している病院では月に一回、レクレーションがある。
今日がそのレクレーションの日。三月ということで、雛祭りをやったようだ。




手先の器用なナースが、ヤクルトか何かの空容器を芯にしてお内裏さまとお雛さまをつくり、母たち入院患者が千代紙等でつくった着物を着せたり、扇を持たせたりと、各々が楽しんだようである。
昼食の介助に行ったとき、作品を前にして、楽しそうに説明してくれた。
「扇を引っ付けるのが難しかったけど、お雛さまに見えるでしょ」

この母に父のことは伏せてある。
精神的に脆いところのある母に、ほんとうのことを伝えることができない。
入院したことさえ話していない。
ちょっとしんどくて家で養生している、としか言っていない。
入退院を繰り返していたことも全く知らない。
だから、いきなり極端に最悪の事態を話すことなどできない。
隠しとおしていても、そのうち、どこからか洩れるかもしれない。
そのときが・・・
母にほんとうのことを伝えるのは私の役目、仕事だ。
いつかはきちんと話さなくてはいけないのだ。
どういうふうに話したらいい?
どうやって話を切り出す?
悩みながらも笑顔でごはんを食べさせる。
何も知らずに、子供のように屈託のない表情で、お雛さまのことを話してくれる母。
涙が落ちそうになる。
あわててティッシュを手に取り、鼻をかむ真似をしてごまかした。

父が息をひきとったのは、三月三日、雛祭りの夜だった。
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by Cafe_Gimlet | 2006-03-07 21:41 | 家事・介護


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